Hokkaido S house
Kamikawa-gun, Hokkaido
2023 _Delivered
photograph by cinema inc.
「森の内へと 溶け入る浴堂」
北海道の美しい森に囲まれた敷地の中、この家は森へ入る前に身を清め、森から帰った後に身を回復する浴堂として計画しました。
計画に先駆けて地域のいろいろな建物を見て周るうち、北海道の建物は”屋根の建築”だと感じ、そのことを反映してこの家でも屋根の形状が内外装の性格を決定づけています。
豪雪気候に対して機能する傾斜大屋根と、それによって生まれる内部天井高の差に応じた部屋用途のレイアウトとを一致させてデザインしました。
例えば、室外へ貫く傾斜屋根が最も低くなる場所には寝室を配置。 屋根を潜って反射する森からの自然光と低い位置での間接照明とで陰影の中でリラックスできる空間としています。
浴堂の中心をなす広いジャグジースペースでは目の前の美しい森へのビューをゆっくり目を閉じるように軒を下げて絞り込むことで森の印象の純度を高め、水面に映る空やテラスへ出た時の開放感へとシーンを繋いでいきます。
天井の高い場所にはリビングスペースを。頭上に暗闇をつくり出し、サウナ・温浴の前後に瞑想するようにニュートラルな心理で過ごすことのできる場として計画しました。
これら全ての空間を地場産の素材を主とした自然素材や森へとリンクするカラーを使い設え、この場所自体が「森へ溶け入る」場となるようイメージしています。